一般的に言われる骨盤矯正とは、骨盤の歪みを改善することにより、身体のバランスを整え、様々な症状の改善や予防を目的とした施術方法のことです。
骨盤は、人体の中心に位置し、脊柱と下肢を支える重要な役割を担っています。しかし、日常生活の中での姿勢の悪さや、運動不足などにより、骨盤が歪んでしまうことがあります。骨盤が歪むと、身体のバランスが崩れ、腰痛や肩こり、不定愁訴などの症状が引き起こされることがあります。
骨盤のゆがみの原因
骨盤のゆがみは、様々な原因によって引き起こされます。代表的な原因をいくつか紹介します。
- 姿勢の悪さ：長時間の座り仕事やスマートフォンなどを使った姿勢の悪さによって、骨盤が前傾したり、後傾したりします。また、筋肉のバランスが悪くなると、骨盤が傾きやすくなります。
- 足の長さの違い：足の長さが違うと、骨盤が傾いてしまいます。足の長さが違う場合には、適切な靴の選び方や、オーダーメイドの中敷きを利用することで調整することができます。
- 腰痛や股関節痛：腰痛や股関節痛が長期間続くと、筋肉のバランスが崩れ、骨盤が傾いてしまいます。
- 妊娠や出産：妊娠中は、子宮が大きくなり、骨盤が広がるため、骨盤がゆがみやすくなります。また、出産時に骨盤が広がり、その後も骨盤が元の位置に戻らない場合があります。
- スポーツの影響：ランニングやサッカーなどのスポーツでは、足に負荷がかかります。長期間、同じスポーツを続けると、筋肉のバランスが崩れ、骨盤がゆがむ場合があります。
以上のように、骨盤のゆがみは、様々な原因によって引き起こされます。骨盤のゆがみが続くと、腰痛や股関節痛などの身体の不調を引き起こすことがあるため、早めに専門家に相談することが重要です。
骨盤矯正の効果
骨盤矯正による効果は個人差がありますが、正しい施術が行われると、身体のバランスが整い、様々な症状の改善や予防が期待できます。
具体的な効果としては、以下のようなものがあります。
・腰痛、肩こり、頭痛の改善
・姿勢の改善
・血流の改善
・冷え性や生理痛などの婦人科系症状の改善
・便秘や下痢などの消化器系のトラブルの改善
・運動能力の向上
・偽下肢長差の改善
骨盤矯正が出来るとされている方法
骨盤矯正には、さまざまな方法があるとされています。以下に、一般的な骨盤矯正の施術方法をいくつか紹介します。
1.整体やカイロプラクティック：手技を用いて、骨格や筋肉の歪みを改善する方法です。専門家の手で直接施術を受けることができます。
2.ストレッチ：筋肉の緊張を緩和するためのストレッチを行い、骨盤の歪みを改善する方法です。個人で行うことができますが、正しい方法を知っていることが重要です。
3.骨盤サポーター：特殊なベルトやショーツを使用して、骨盤を支える方法です。日常生活で使用することができ、簡単に手に入るものもあります。
4.ピラティス：身体のコア部分を鍛えることで、骨盤の歪みを改善する方法です。インストラクターがいるスタジオでレッスンを受けることができます。
何回の施術で矯正できるのか
骨盤矯正の回数は個人差があり、症状や身体状況によって異なります。一般的には、骨盤矯正を行う回数は、症状の軽重、改善の速度、治療目的などを考慮して決定されます。
一般的に、軽度の骨盤のゆがみであれば、数回の施術で改善が見られることがあります。しかし、症状が重度である場合や、長期間にわたって症状がある場合は、何度もの施術が必要な場合があります。
また、骨盤矯正は症状の改善だけでなく、再発を防ぐための予防的な目的でも行われることがあります。その場合は、定期的な施術を受けることが望ましいとされています。
しかし、本当に骨盤のゆがみに対して一般的な施術で正しくアプローチが出来るのでしょうか？
他院で骨盤矯正をずっと受けていた方が、当院に来院された際の状態をみてみると、矯正されているのかと疑問になるような方が多いなと感じます。キチンと矯正できていない、もしくはその場では変わっても、元に戻ってしまっているのではないかと思っています。理由を後述するオステオパシーのアプローチで解説していきます。
骨盤矯正のリスク
- 痛みや不快感：骨盤矯正の施術中に痛みや不快感を感じる場合があります。これは、骨盤の位置を調整するために力を加えることで、周囲の筋肉や靭帯に負荷がかかるためです。通常、痛みや不快感は一時的なもので、施術後に緩和されます。
- 筋肉の損傷：骨盤矯正の施術中に、周囲の筋肉が損傷することがあります。これは、施術中に加えられる力が強すぎる場合や、施術者の技術不足によるものです。筋肉の損傷は、痛みやしびれなどの症状を引き起こすことがあります。
- 神経損傷：施術中に神経を圧迫してしまうことがあり、神経損傷を引き起こすことがあります。神経損傷は、痛みやしびれ、筋力低下などの症状を引き起こすことがあります。
- 骨折や脱臼：骨盤矯正の施術中に、骨折や脱臼を引き起こすことがあります。これは、施術中に加えられる力が強すぎる場合や、施術者の技術不足によるものです。
以上のように、骨盤矯正にはリスクがあります。
しかし、一番のリスクは医学的な根拠をもったアプローチをする施術者が日本には少ない事。ちゃんと行える施術者を選べていない事ではないでしょうか？
世の中には「骨盤矯正」をうたう施術所や整体院は数多く存在し、500円矯正やマッサージ矯正など、金額も方法も様々です。
解剖学の知識もあまりない方が強圧をかけるアプローチでは、上記のような損傷リスクを伴います。また、金額は安くても効果が本当に期待できるのか？10回で5000円を支払い、無駄な時間を費やしているというリスクもあるかもしれません。
オステオパシーの考えに基づいた骨盤矯正とは
オステオパシー医学において、骨盤ゆがみの原因は前述した外部環境要因に加えて、身体の内部から考えていきます。具体的言うと、骨盤だけでなく身体の全てからゆがみの原因を見つけるのです。
まず、筋肉、骨格以外に、内臓、神経、血管などの組織が身体には存在し、それらを繋ぐための「結合組織」があります。
その組織は「膜」と呼ばれ、筋の外側には「筋膜」、骨の外側には「骨膜」、心臓や肺のその側には「心膜」や「胸膜」、骨盤内で言えば、子宮広間膜、S状結腸間膜など、名前は箇所によって異なり付けられていますが、ひとつの「結合組織」として身体中の組織を繋ぎとめる役割をもっています。この「膜」の存在を考慮することは、骨盤矯正においても重要になります。
例えば、自分で体の関節（手足や背骨など）動かす時に筋肉を動かしているという意識はあると思います。しかし、内臓や神経、血管の動きを意識している方はほとんどいないでしょう。では、実際は背骨が動くときに内臓は固定されているでしょうか？
体を大きく捻るとき、胸に手を当ててみて下さい。肋骨の動きが分かるでしょう。では、その奥にある肺や心臓に意識を持っていける方は、感じてみて下さい。体の動きに合わせて内臓も動いているのが分かると思います。この時、肺と心臓の間にある膜は滑り合い、骨格に合わせてスムーズについていけるように動いています。この部分、心膜や胸膜に手術や炎症後に動きの制限が出来ると、筋肉の硬さではなく、胸の中の方の硬さから上半身の筋骨格の動きにも制限が出来てしまいます。
逆に、体の動きによって内臓があちこちに動き回らないように骨や、筋に繋いで固定するのも膜の役割です。盲腸は右の腸骨の内側に固定されていたり、上行結腸の上部にいけば横隔結腸間膜で横隔膜に固定されていて、この位置からあまりにも逸脱しないようになっています。内臓や腸管が良い位置からずれてしまうことがあれば、それらを繋いでいる「膜」にも強い引っ張りを起こしているという状態になります。膜にひっぱりが起きると、それに合わせて骨、関節はゆがみます。
例えば、胃炎の後から、肝胃間膜が硬くなると、胃が少し水平気味に傾き、その傾きにあわせて背骨は左側凸の側弯をつくります。後腹膜が硬いと腰椎は反りを失い、骨盤は後傾します。このような考えに基づいて、矯正する必要性が高いところからリリースしていくことが、ただ骨盤を外から動かすよりも本当に大切だと実感しています。
これはほんの一部の例です。人によってゆがみを作っている原因は様々。ハイヒールの履き過ぎで、足部の機能が低下し足首の部分にある距骨が前方にゆがんでいる方は、膝が伸展し、股関節や腸骨が代償して骨盤前傾のゆがみ、その力は腰椎に過度な伸展を強要して腰痛の原因になることもあります。このケースは足部の矯正や股関節のリリースから行い、骨盤への影響を取り除くアプローチをします。
子宮筋腫などがある場合は、骨盤内圧が高まるのを逃がすために骨盤は前傾し広がりを持とうとします。このケースに骨盤を後方に戻していく矯正をしても無意味どころか悪影響です。オステオパシーで出来ることは、子宮筋腫が大きくならないように排液や循環テクニックで手助けし、子宮筋腫の影響を受けてゆがんでいる事を邪魔しないことです。あまりにも子宮筋腫が大きくなり、股関節痛や変形が起こっている場合は、婦人科医師の判断を仰ぎ、本人に手術の必要性はないか再確認してもらう事も、医療者として大切です。
骨盤矯正と言う単語が当たり前に社会に広がり、骨盤が治れば種々の問題を解決できると勘違いさせてしまう世の中の情報は、誤っていると思ってよいでしょう。人間のシステムは単純ではなく、不調の原因も本当に多く、人によって異なります。
様々な不調でお困りのかた、骨盤のゆがみが気になる方は、一度、宜野湾市のさくがわ接骨院へご来院ください。