前回のコラムでお話しした「骨」という組織ですが、単一で成り立っているわけではなく、骨同士の連結が必ずあります。連結部の名前が4つありますが、どの連結に対してどのようにアプローチしていくかが異なってきます。
骨の連結の種類
骨の連結は、骨と骨の間に介在する物質によって分類されています。4つの分類のうち1つ目がいわゆる「関節」です。この「関節」のみ可動結合とされており、残りの3つは不動結合とよばれます。しかし、後述しますが、一般医学的には不動とされている部分でも、オステオパシーにおいて、全くの不動で少しも動きがないという部分はあり得ません。生命である以上、体内の液体、流体的な動きや骨自体の動き、細胞の動きが触知できます。話を分類に戻してみると
1.滑膜性連結
いわゆる関節。骨と骨との間には滑液と呼ばれる液体が介在し、これを滑膜などで形成される関節包が包んでいます。通常は滑膜性連結と呼ばれていますが、滑液性の連結と呼んだ方が良いような気がします。
2.骨性連結
骨同士が骨によって連結して、全体で一つの塊になっているもの。(成人の寛骨・仙骨)
3.軟骨性連結
骨と骨の間に軟骨が介在して連結しているもの。軟骨の種類によって、硝子軟骨結合と線維軟骨結合に区分されます。硝子軟骨結合は頭蓋底の軟骨や肋軟骨。線維軟骨結合には、恥骨結合や椎間円板があります。
4.線維性連結
骨が線維で連結しているもので、頭蓋にみられる縫合や歯の釘植、骨間膜があげられます。
前述のとおり、成人では不動と言われる2~4の連結でも、成人になって癒合するまでの間にはレントゲン上で観ても、かなりの隙間があり可動性があります。
例えば、線維性結合の頭蓋骨の縫合部分は、産後に段々と固くなっていきます。赤ちゃんが生まれ出てくる過程で、お母さんの産道を通る際に、頭蓋骨が固く不動であれば、産道を通過できない為です。
骨性連結である仙骨も、癒合したあとも何も仙椎と仙椎の間にわずかな動きを感じます。
このようにオステオパシーの施術では、関節のように簡単に動く骨の連結だけでなく、本来不動とされている部分の制限や動きの悪さ、位置の悪さを検知し、良い動きに導くことで絶大な効果を発揮するのです。
滑膜性連結(関節)
関節は骨の可動性連結であるのは、先にお話しした通り。骨と骨の間に滑液という液体があるのですが、では骨の先端部分はというと表面は硝子軟骨で覆われており、いわゆる関節軟骨があります。
そのうち凸側を関節頭、凹側を関節窩といいます。
この部分を包み込むのが関節包という袋で、内腔を関節腔といい、関節包の内層は滑膜、外層は線維膜でシャーピー線維という線維で関節包と骨を繋いでいます。
関節には「靭帯」という補強装置が備わっています。
靭帯とは「二つ以上の骨や軟骨を連結・支持する線維性結合組織の帯状構造」で、普通は関節包の外にありますが、関節によっては、関節腔の中を走る関節内靭帯があります。
・股関節の大腿骨頭靭帯
・膝関節の十字靭帯
また、関節内に適合性をもたせて、力のクッションになるための繊維軟骨が存在する関節があり
・顎関節
・胸鎖関節
・手関節
・膝関節
などに入り、関節円板や関節半月と呼ばれています。
接骨院で診ていくものとして、一番多い損傷が関節部ですが、関節と大雑把にとらえるのではなく、関節のどの部分の損傷なのか?をチェックしています。
例えば、関節包の損傷なのか、その側の靭帯なのか、関節軟骨の損傷はないか?など、その部分に対して押したり引いたりするストレステストを行うのです。
それに加えて、捻挫なのか亜脱臼なのか脱臼なのか判断が必要です。
「関節の生理的運動範囲を超えた運動によって生じる外傷」という難しい言葉はさておき、要は通常の可動域の範囲では行ってほしくないところまで、無理やり持っていかれた状態です。
このうち、関節面が正常の適合関係を保っているものを「捻挫」
正常の適合関係は失われているが、一部接触を保っているものを「亜脱臼」
適合関係が失われて、関節包の外に骨がズレてしまったものを「脱臼」といいます。
このように、関節ひとつとってみても、さまざまな損傷の可能性があり、素人考えで安易に安静で済ます。というのはやめて下さい。もちろん痛みが強い場合や、全然動かせない場合は骨折や脱臼を疑って医療機関を受診されると思いますが、そこまでではないかという程度の関節損傷が一番放置されています。
しかし、小さな捻挫であっても、損傷した痕跡は残り、ズレたままになると、その後の身体のバランスを崩す原因になります。
関節損傷でお困りの方は、宜野湾市のさくがわ接骨院へご相談下さい。
急性の外傷の場合は、その部分の処置を健康保険適用で処置します。
古いケガの後遺症やゆがみの原因となっている痕跡は、オステオパシーのコースで施術いたします。